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ストーリー

いちご農園Shimonta & ジェラート工房
いちご農園Shimonta & ジェラート工房

静岡県のいちご栽培の歴史は古く、明治時代に静岡市久能で栽培が始まったと言われています。日照時間が長く温暖なここ浜松においても、いちご栽培に適した土地として、さまざまな品種のいちごが栽培されています。

JR浜松駅から車で25分。浜松市東区大瀬町に<いちご農園Shimonta & ジェラート工房>があります。
浜松は、遠州灘や浜名湖に近い南区や西区にいちご農園が集中しているなか、Shimontaさんの農園は、市街地から比較的近い東区の郊外に位置しているため、近隣のお客様が気軽に摘みたての完熟いちごや自家製ジェラートを買いに来ています。

およそ4500平米の施設では、12月~5月までの半年間で約3万株のいちごを栽培。常に3~4種類のイチゴを食べ比べることができます。訪れた日は、定番の静岡いちご「章姫」と「紅ほっぺ」の他に、新品種の「きらぴ香」、宮城県の品種「もういっこ」、桃の香りの「桃薫」、三重県の「かおりの」といった、珍しいいちごも揃っていました。

営業マンから農園長へ

「いちごにはそれぞれ個性があります。また、スーパーで買うものと違い、完熟したいちごをその場で食べることができるのが、いちご狩り園の最大の魅力。ぜひ、全種類を味わってほしいですね」

お話を伺ったのは、農園長を務める田邉 剛さん。製造業に関わる製品の販売とメンテナンスを手掛ける商社に、AGURI事業としていちご農園を立ち上げた元営業マン。今ではいちごとジェラートのスペシャリストです。

いちご農園は、定年退職者の新たな働き口を確保しようと新たに始めた事業で、会社としても、ものづくりは初の試みです。
AGURI事業の立ち上げが決まると、西区のイチゴ農家で修行をスタートさた田邉さん。半年後には開業準備として都田で1年間ビニールハウスをお借りして独自のいちご栽培も開始します。

「いちご農園の修行と同時進行で、1,000平米のハウスを一人で管理するのには大変苦労しました。40歳にして、全てが初めての経験ですから。修行先や勉強会で知り合った方など、多くの方に助けていただきながらいちご栽培を一から学びました」

安心・安全ないちご作り

「摘み取ったいちごをそのまま召し上がっていただくので、安全・安心のための努力は惜しみません」

Shimontaさんでは、基本的に花が咲いたら農薬は使用しません。また、農薬は、『でんぷん材』と呼ばれる、自然由来の“洗濯のり”のようななものを使用しています。これによって、虫の背中にある空気の出入り口を塞ぎ、虫を窒息死させるのです。そのため、殺虫成分は入っていません。
水は、地下70メートルからくみ上げた、天竜川水系のミネラル水。毎年検査を受け、飲料用として飲める安全な水を使っています。

また、いちご栽培は細菌との闘いでもあります。
「うちでは、いちごの免疫力を上げるために、納豆菌、乳酸菌、酵母菌といった菌を培養させたものを、一週間に一回かけます。病気の菌がいちごに付く前に、良い菌を付けておくことで、悪い菌が付く場所がないようにします。害虫や病気のストレスが無いと、いちごの味も良くなるんですよ」

 

一番おいしい瞬間を味わってほしい

一般的に市場に出回るいちごは、荷崩れを防ぐために6~8割の青採りという状態で出荷されています。Shimontaでは、糖度を上げるために、花を摘む適果作業を徹底的に行い、もっとも美味しい完熟のいちごのみを収穫します。

「青採りでは、いちご本来の味が乗りません。また、いちごは完熟した時が一番糖度が高く、摘み取った瞬間から糖度は下がってしまいます。ぶら下がった状態の完熟いちごを、その場で摘み取って食べていただくのが一番おいしいんです。いちご狩りから戻ってきた子供たちが、口のまわりを真っ赤にして“おいしかった!”と言った時のあの笑顔を見るだけでよかったなあと思います。それがいちご狩りをやってよかったなあと思うところです。」

完熟いちごを使った本格ジェラート工房

Shimontaさんでは、いちご農園にジェラート工房を併設。農園の採れたていちごを使ったジェラートを毎日作って販売しています。またいちご以外の食材には、地元のいなさ牛乳を使はじめ、地産地消にこだわった旬の食材を使用します。複数のいちごジェラートのほか、季節の味を楽しめるジェラートを、常時10~12種類用意しています。

Shimontaさんのジェラートは、イタリアのジェラートコンテストに出品するなど、その味はどれも本格派。決して片手間ではない、ジェラート作りへの熱意はどこから生まれたのでしょうか。

食品ロス削減のためにできること

一番人気の「いちごのソルべ」

このジェラート工房開設には、田邉さんの修行時代が大きく関わっています。

「修業時代、師匠の農園で廃棄する大量のいちごを目にしました。いちご狩りでは、お客様は大きな実から食べるので、どうしても小粒のいちごは余ってしまいます。それでも、小粒のいちごを残しておかないと、大きい実だけでは視覚的に寂しい感じになるので、小粒でもあえて残すんです」

残した小粒いちごをジャムにする場合でも、ジャム用のいちごなら春先のいちごを集めたら十分間に合うので、平常時のものは廃棄されてしまいます。「捨てられるのはもったいない、何か加工品に変えられないか」新規参入だからこそ、食品ロスの現状を受け入れられなかった田邉さんの、新しい挑戦が始まりました。

「いちご栽培の修行と自分のビニールハウスでの栽培に加え、製菓衛生士の資格取得のために、夜間の調理師学校へ通いました。お菓子の知識が全く無いなかで、若い子たちに交じって勉強するのは相当大変でしたね」

それでも勉強を続けたのには、「自家製」で作るという大きなこだわりがありました。

「一般的ないちご農園では、加工品は作れないので、委託してジャムやお菓子を作ります。うちでは、私以外にも、調理師免許を持ったスタッフがおりますので、摘みたての完熟いちごを使ってその場でジェラートを作ることができます。季節によってラインナップを変えたり、夏はかき氷を販売したりと、新しいことにチャレンジできるのも、自分たちの工房を持っている強みだと思っています」

いちごで笑顔になってほしい

安心して美味しいいちごを味わってほしい。そのために、Shimontaさんでは、衛生面への配慮も怠りません。
ハウスの中に弱酸性電解水生成装置「ピュアスター」を導入し、殺菌予防を行うほか、夜間は殺菌灯の紫外線で殺菌しています。また、いちご狩りのお客様には、アルコール消毒やフェイスシールドの着用をお願いするなど、感染防止策も徹底しています。

「私たちの願いはとてもシンプルです。“いちごを食べて笑顔になってほしい”という、ただそれだけですね。そのためには、自分に嘘を付かず、本当に美味しいと思えるものだけを作っていきたいと思います」

いちご農園SHIMONTA & ジェラート工房

住所:
静岡県浜松市東区大瀬町2046
電話:
053-432-8050
URL:
https://www.y-s-s-agri-0158.co.jp/